いっちゃん
(注意)このエッセーの内容は、一部フィクションになっております。実在の出来事とは少し関係あるかもしれませんが。
最近ちょっと街を歩くと、あっちでもしもし、こっちでもしもし、また突然人ごみの中からピピピ……。これは人々のライフスタイルさえも変えてしまった。何のことか?それはとりもなおさず、携帯電話のことである。或はその簡易版としてPHS(Portable Handyphone System)というのもある。加入者数で携帯電話が一般の固定電話を追い抜いてしまったのに驚いたのはもう随分前のことで、何と20代男性の8割は携帯電話またはPHSを利用しているという。筆者もPHSを利用している20代の一人である。
それに伴って携帯電話各社の競争は激しくなるばかりである。最初の頃はPHSの電話機を街頭で無料で配布する(注1)などといった前代未聞の商売戦略に乗り出したかと思えば、今度は競って人気芸能人を起用してテレビなどでCMを行ない、また電話以外の例えば天気予報やグルメマップやスポーツ速報や着メロといった「オマケ」の機能をつけたり(注2)、また新しい料金体系で格安で利用できるようにしたりと、あの手この手で加入者を増やそうとしている。その過程で携帯電話は単なる電話機から移動端末へと大きく変貌し、その最大の産物がインターネット接続機能であり、その最もポピュラーなのがNTTDoCoMo社の「iモード」(注3)である。
このように利用者がうなぎ登りに増えた携帯電話だが、急増に伴って利用者のマナーなどに関するトラブルも多くなった。携帯電話は電波が届けばいつでも着信を受け付けられるので、所構わず呼び出し音が鳴り、それが音楽会や学校の教室など静かにしていなければならない場所だったりして迷惑を掛ける。また、通話中はその話の内容に気をとられたり、電話機の操作で目線や手がそれたりするので、例えば自動車の運転での事故が多発して道路交通法で禁止されるまでに至った(注4)。更に電磁波の問題も取り沙汰され、電子機器に悪影響を及ぼすという理由で、飛行機の離着陸時や病院などで禁止されるようになった。
そこへきて突然、JR東日本が混雑した電車内での携帯電話の使用を禁止し始めた。前々から会話の声の迷惑や電磁波のペースメーカーへの影響がいろいろ懸念されていたので、「ご利用はご遠慮下さい」と頻繁にアナウンスされていたのだが、ペースメーカーの誤作動を引き起こすおそれがあるという最近の研究結果によって、「使用しないようお願い」から「禁止」に強まったのだ。とはいうものの、禁止というわりには
- 禁止事項の基準が曖昧 (会話?電波の送受信?それとも電源?満員電車でだけ?)
- 使っているところをめっかっても罰せられない。
- 車掌や警察官がパトロールするわけではなく、車内ではあくまで車掌がアナウンスするだけである。
と抜け穴だらけで、それに加え携帯利用者の反発の強さもあってか、この無意味なインチキ「戒厳令」発令から1ヶ月も経たずに違反者がちらほら見受けられる。
公共の場所での携帯電話使用の問題は、ネット上でも毎日新聞のWWWサイトなど様々な場所で議論されている。そこに書いてある賛否両論をよく見てみると、一体全体JR東日本は何を血迷ったのか、本当に不思議でしょうがない。気持ちは良く分かるのだけれど、それが本当に有益なのか、乗客へのサービスになっているのか、よく考えたのか?首をかしげたくなるのだ。