あたしゃも少し、背が欲しい

いっちゃん

最近の女の子って、随分背が高くなったんだな、それも脚がやたら長くなって。お尻があんなに高いところにあって、随分スタイルが良くなったナァ(*^o^*)。それがあんな超ミニはいてて、なんか男にとってはちーと目のやり場に困るなぁ。(注1)
……ゴト、ゴト、ゴト、なんか足音がアヤシイナ。……あそっか、今流行りの厚底靴か。最近は15cmなんてのもあるらしく、まるでオイランの再来。あーあ、スタイルが良くなったかと思ってたのに興ざめ、キャビアはチョウザメだよな(-_-;)。まぁ、スタイル良く見せてくれるからいいとしよう。それよりそこの厚底ギャルさん、足元には十分気をつけて下さいね、転ぶ事故結構多いんだから(注2)。ホラホラ、そこ、階段ですよ。

ゴトッ、「キャ!」

いってぇー!こんなとこで足踏み外してド派手に転ぶとは。………だから言わんこっちゃない。厚底はいたら、足元気をつけろっちゅーに。
「すいませーん。……あれ、誰かと思ったら、いっちゃん、こんなところで。だいじょぶだった?」
……あれれ?なんで僕の顔知ってる?あーそっか、エミちゃんか。まだ高校生だったっけ。急に背が高くなって別人かと思ったよ。
「そうそう。あたし、今17なんだけど、高校に入ってから全然背が伸びてないんだー。でも、あれ?いっちゃんって、そんなに背が低くて脚が短かったかなー?って思うんだけど。」
これこれ、相手の気にしてること言わないの!おまけに5年前より腹が出てます。(`_'#)確かにその厚底はいた状態から見ればそうだろうよ。……それより、エミちゃん、転んで鼻血出てるよ。ほれ、ティッシュ。

「金も要らぬが、名誉も要らぬ。あたしゃもすこし、背が欲しい。」
というのは、誰が言ったかよく知らないが、とかく日本人は食生活が欧米化して、豊富になった現在でも、欧米人と比べてみてまだ背は低い。それだからこそ尚更、日本人には身長を伸ばしたいという願望が強い。そしてその思いは、自分の子供にも向けられるのである。
確かに身長が高いと有利なことは沢山ある。まずスポーツでは大変重要である。大方スポーツ選手というものは、体操やマラソンなどごく一部を除いては背が高い。芸能人も背が高いと見栄えがする(芸能人は背が命!?)。有名人に限ったことではない。数年前「3高」(高身長、高収入、高学歴)というのが話題になったが、やはり女性は自分より背の低い男と結婚したくないようだ。また生まれてくる子供にも夫の身長が影響してくるのではないかという考えもある。
そういう風潮は、成長過程の子供にも影響を少なからず与えている。体が大きいことは誇らしいことであり、これにより学級の中での力関係が決定される。小学校で学級委員男子生徒は大抵体が大きい。ただでさえ子供は成長過程ゆえ、まさしく成長願望のかたまりであって、大人に一歩一歩近付くことに憧れている。それでどうしても背伸び競争をする。電車の中で子供の集団が吊り革につかまろうとハッチャキになっているのを見たことがある人も多かろう。

本当に、背が低いことは、気にし出すときりがない。筆者もいやという程経験がある。小学校や中学校では、クラスで背の順に並ぶと、大抵前には数人しかいない。中学1年の一時期には一番前にいたこともある。これは非常に屈辱である。なるだけ後ろに行きたくて、隣の同級生と必死になって背比べをした。そこの辺りにいるやつらは、みな同じ悩みを抱えているので、その悩みと悩みがぶつかって、相手の肩に体重をかけて低くみせようとした。それでざわつき先生に叱られたのはしょっちゅうだった。もっとも、今では身長が170cm弱で、その悩みなどすっかり忘れてしまったが。

でも身長が低いことの精神的影響は非常に大きい。人の性格は体型に依存する、と心理学者クレッチマーは述べている。背の低い人は一般にコンプレックスが強い。かの有名な豊臣秀吉は、まさにコンプレックスで出世街道を歩んだ。筆者は「小さい」「弱い」「幼い」といわれながら育ったせいで、「体で負けたら頭で」とばかりに、すっかり頭でっかちに、また顔がオジチャンになった。また、背が低いことは、太っていることよりも克服が困難であるから、尚更深刻である。ダイエットなど全然打つ手がない。(一応週刊誌などで宣伝している「伸長法」はよく見かけるが、効果のほどはよく分からない。多分金が相当かかるのだろう。)

身長を伸ばすのに懸命になるのは別に構わない。むしろ低身長とうまくつき合うべきではないか。人には個人差がつきものである。そこに優劣をあからさまにつけるべきではない。例えば、学校で生徒を背の順に並ばせているが、あれは早急にやめるべきだ。単なる軍隊のまねごとで、何の利益もないばかりか却っていじめを生んで有害である。筆者はこのやり方を大変恨めしく、腹立たしく思う。うまくつき合うことを、なぜ小学校では教えられないのか。

とはいっても、身長にやたら目くじらを立ててしまうのが、実は本音なのである。身長に加えて、筆者は股下の長さが欲しくなった。平均と比べれば身長に対して普通なのだが、やはり少しでも長い方がいい。身長の半分を超えている人が羨ましい。(最近股下96cmの女性アイドルがデビューしたらしい。名前なんだっけ?....あ、そうそう、仲条春香だ!!)もし自分が武田鉄矢のような体型だったら、まるっきり落ち込んでしまうに違いない。一応、あのキムタクの股下が77cmと聞いて、何だか安心した。

背が低いといえば、あの長野五輪の男子スピードスケート500mの清水宏保選手は身長がたった161cm、全男子選手の中で最も低かった。幼少の頃から鍛え過ぎたせいで背が伸びなくなったらしいが、その低身長を克服しようと猛練習し、見事に強豪オランダを破って堂々の金メダルを手にした。彼は後でこう話していた。

「小柄でも出来るんだ、というのを見せたかった」
そう、背が低くたって、克服すればヒーローになれるのだ。

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