職業選択の不自由、アハハン
いっちゃん
何年前だったか、「♪職業選択の自由、アハハン」とかいう歌がヒットした。あの頃は日本経済がバブルの絶頂期で、職業を探すのに困らない時代だった。しかし現在はバブルが崩壊し、とても職業を楽には探せない。大変な世の中になったものである。
筆者いっちゃんは、自分が修士を出る頃には景気が回復しているだろう、と学部時代に予想していた。しかし現実はその全く逆で、景気は一向に良くならないばかりかデフレ・スパイラル(注1)に陥り、山一や拓銀などの大手企業の倒産まで発生。就職戦線はいよいよ厳しくなった。
学生たちは自分の入りたい企業の採用試験を受けるのだが、これが狭き門。やはり後の生活を考えると、安定して高い給料をもらえるところがいいので、いきおい大企業(注2)に学生が集中してしまうのである。特にいわゆる一流大学(早稲田だって一応....^_^;)の学生はプライドが高い(注3)。なんたって一流大学を出て一流企業に入り、たくさん金を稼ぐのは典型的な「ジャパニーズ・ドリーム」なのだから。
その第一志望の企業に入れなかったらどうするか?そうするとより志望順位の低い会社で我慢するか、来年また受ける為に就職留年するか(注4)のどちらかである。大半は前者に落ち着くのだが、最近は後者も増えているようだ。どうも少子化で親の負担が減り、より長く「すねをかじる」ことが可能になったためらしい。
希望の会社にたとえ入れたとしても、自分の本当にしたい仕事が出来るとは限らない。いわゆる「3K」だったりする。転勤の辞令が出たら黙って動かなければならない。それに同期の社員との出世競争もある。「社畜」になってしまうのである。学生時代に持っていた自分の可能性などあったものではない。「職業選択の自由」とはいえ、選択したのは会社、自分のやりたい仕事ではない。何だか勿体ないような気がする.....
.....デモナインデスネェ〜、コレガ。:-( 実はこの日本人、可能性と引き換えに人生で非常に重要な「安定」を得ているのだ。ほぼ一定の収入が入る、福利厚生は充実、老後も安心、困った時は金を貸してくれる、その為にただ黙々と仕事をこなしていればよいのだ。「寄らば大樹の陰」だから会社でこき使われ、人にもまれるのも精神修養のうちと思い、会社に自分の人生をそっくりそのまま預けてしまうのだ。
え〜、さて、ボクも就職活動をした人間なので、いちおー申し上げておきますネ。:-)
まず理工系の学生、特に大学院生は学校推薦で受けることが多く、その場合は自由応募よりもはるかに合格率が高いといわれる。それもそのはず、企業は各々その専門の技術職が欲しいから、どこの馬の骨だか分からない学生よりも、大学の「お墨付き」のある学生を好むのだから。学生にしても、折角その仕事に就く為の専門を忙しく磨いてきたのだから、その報いは然るべきである。就職協定が廃止されたとはいえ、このようなおかしな制度が残っているために、文系とは大変な格差が生じた。
筆者は2月頃に資料請求を始め(注5)、3月頃から説明会に回った。そして向こうの人事担当者に言われるままに試験を受けた。しかし面接の後は全く音沙汰なし(注6)。やはり自由応募で技術職につくのは難しいということが分かり、学校推薦で行くことにした。
- (1)電機のT社 不採用
- 父が勤めていたこともあって、非常に憧れていた。学校推薦ではかなりゆうゆうと受かると聞いていたので、すっかり自分がそこに入社する気になっていた。(。_°)☆\このウカレポンチめ!.....ところがどうも面接でしくじったらしい。その直後友人と飲んだ酒はひどくこたえ(注7)、タクシーで「強制送還」されるまでだった。(この時期に多くの院生が続々と決定していた)
- (2)千葉に縁の深い鉄鋼業 不採用
- ここで製鉄所の制御をやろうとした。早大卒業生による工場見学・技術面談において、大変やる気のあるところを見せたし、別の部門だが親戚が人事をやっていることもあり、採用間違いなしと思われた、が.....制御専門ではないという理由で。人物評価は非常に高かったようだが。
- (3)電機のO社 採用!!(^o^)/
- 電気電子情報工学科の推薦枠に、いい案配に残っていたので受けた。時期が差し迫っていたので書類を速達郵送し、半ば滑り込み状態で採用試験に臨んだ。今度ばかりは落ちてはいけない、と神社にお参りにも行った。.....今回は3度目の正直。「やったー!」というよりもむしろ「やれやれ」といった感じであった。この時既に、8月に入っていた。
とまあ、大学院生としてはかなりすったもんだがあったのだが、何とか決まったのである。受けた会社の数は大方の文系学生よりもはるかに少なく、また学校推薦という強い後押しもあるので、本来は比較してはいけないと思うのだが、就職活動について幾つか挙げておきたい。
- 性格テストでは一部のひっかけ問題に注意。
「私は嘘をついたことがない」などに「はい」と答えると、偽善者とみなされ大きなマイナス。
- 面接は積極的にかつ控えめに自然体に。
これは実に難しい。自己PRは重要だが、だからといってやり過ぎると高飛車と思われてしまう。「面接のマニュアル」化した行動も禁物。
- 自分のやりたい仕事をはっきりさせておく
これは絶対に重要。「就社」志向は別にいいだろうが、「どんな仕事でもいい」は禁物(注8)。
- 落ちても自分を責めない。
自分の人格を否定されるような思いにかられるだろうが、運が悪かったと思うこと。少し責任転嫁や言い訳して開き直るぐらいがちょうどいい(注9)。
あ、全然参考にならなかったですか?(^^;)要は、就職活動は大部分が運だってこと。日本経済の不況も運、クモスケ面接官に当たるのも運、それから当日に腹下してウンコしたくなるのも運....nanchatte。(。_°)☆\
どんなに優秀な学生でも、採用する気のない企業には絶対に入れない。それから採用試験は決して客観的ではなく、きちっとした正解は一般常識問題ぐらいにしかない(注10)。
いや、入社試験の攻略法を云々よりも、一番重要なのは自分に適した仕事かどうか考えることではないだろうか。自分に合わない会社を憧れだけで受け、無理に自分の人格を偽って無事採用されたとしても、入って後悔することになる(注11)。それに比べたら不採用になったほうがましだ。
やはり、職業はつけばいい、というものでもないようだ。
末尾ながら、各企業の人事担当者の方々に申し上げます。皆様方にとっては学生を1匹2匹入れるか切るかは痛くも痒くもないでしょうが、その学生にとっては一生を左右する一大事です。採用するか否かは皆様方の自由ですが、一応このことは肝に銘じておいて下さい(何と大袈裟な!)。
私を採用して下さったO社さん、本当に有り難うございます。これからずっと、大変お世話いたします。(???)それから私を落としたT社さんと鉄鋼業さん、こんなにも優秀でやる気のある学生を切ったことを、くれぐれも後悔しないで下さい。........ふははは、最後はゴーマニズムと相成り申した。(^^;)
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- (注1)物価が下落傾向の為に投資が落ち込み、これが景気停滞を引き起こし物価がまた下がる、という悪循環のこと。
- (注2)その一方で、あまり知られていない中小企業には学生が集まらず、定員割れを起こすところも珍しくない。別に人々が嫌がるような仕事でもないのに。
- (注3)これはひとえに、「難関」を突破することに自分の目標を見出していることの現れだろう。一流大学に入るのにあまりに苦労したために、プライドを捨てられないのだ。
- (注4)本当は卒業してしまってもいいのだが、これでは企業が求めている「新卒」の条件に反してしまう。なぜ新卒でなければならないのか、どうも理解に苦しむ。
- (注5)理工系学生には就職情報誌が山のように届く。筆者はよく知らないが、文系は資料を請求してもなかなか届かないとか聞いている。
- (注6)こういう場合、大抵は「不採用」という意味である。しかし少数ながら「保留」ということもある。
- (注7)筆者はかなり酒に強い体質のようだが。ヤケ酒をあおったという説アリ。その飲んだ友人の中に親友Tがいて、筆者のこの醜態を大目に見て介抱してくれた。そのTは悲しいことに2000年3月に亡くなった。
- (注8)「なんでもいいんだね。じゃ、便所掃除やってもらおうか」なんていわれるのがオチです。(^^;)
- (注9)だからって落ちた会社とかを誹謗中傷するのは負け惜しみ(sour
grapes)でいけませんよ。
- (注10)これですらどこに客観性があるのか分からない。某ゲームソフト会社では四字熟語「○肉○食」を完成させよという問題で「焼肉定食」と答え、アイディア性を高く買われて採用された人がいたそうな。
- (注11)筆者が学部3年の時、某W大学で修士をとったばかりの卒業生がキャンパスの高層校舎から飛び降り自殺した。写真の仕事をしたかったのだが、放射線を扱っていたので、自分の体に悪影響が出ることをひどく心配したからだそうな。